文字のない絵本って、読み聞かせには向かない、ましてや英語力向上には役に立たない。
そう思っていらっしゃいませんか?
ずっと昔の、ある英語学校(今はなき)のテレビCMです。
公演のジャングルジムに押しつぶされた(?なんでやねん)西洋人?が
“Help me out…please!”
とかなんとか、英語で助けを求めている。
そこを通りかかった、若い女の子、
「ごめんなさい、私英語できないの」
と呟いてくるっと背を向け、そのまま件の英語学校に足を踏み入れる。
おわり。
そのシチュエーションを頭に描いて、どう思われますか?
…このCM、英語、全然関係ないのですよ!
目の前で人がジャングルジムに押しつぶされているんです。
とにかく助け出す。手伝う。110番や119番をする。
でしょうっ
「冗談じゃん」って笑われるかもしれないけど。
「英語が分からない」がために、状況を見る眼を失っているということがないでしょうか。
英語で語り掛けられた子が
「わからーん」
「習ってなーい」
安易に言うと、がっかりします。
文字のない絵本は、そんなこと言わせません。 Look harder!
状況を捉えて、話についていく。
多読のベースになくてはならない力です。
文字なし絵本は
そういう力を養ってくれる、大切なステップになります。
だから私のお教室では読みます。
私は極力英語で語り掛けるけど、
語りすぎるのはオシャレじゃないですねー💦(ダサい私)
先日のレッスンで読んだのは、
(画像はAmazon.comからお借りしました。Look insideで試し読みができます) 文字なし絵本って、何度読んでも、違う子と読むと、違うものを発見します。
発見するっていうのは、ただの探し物ゲームではなくて、見つけたものからまた違うストーリーが生み出されるということ。無限に広がります。
英語は表紙の
The grey lady and the strawberry snatcher
のみ。
(ちなみに、スペルを"gray"だと思っていたので「私ずっと間違ってたの?!」と焦りましたが、どちらもあるんですね。)
本を開く前に、
”There are two main characters in this story.
You know who?"
と聞きます。
こどもたち、勿論答えられます。
Do you have any idea about what they look like?
中学生のYちゃんが
「白髪のおばあさんかな」
と言ったのにはびっくり。
The grey ladyという言葉から白髪の老女を連想できるのです。
きっと、そんな絵本を読んだ経験があるのでしょう。
…でも、そういう意味ではありませんでした。
!
そういうこと?!
ページをめくるたびに次々に不思議な事が起こります。
八百屋のおじさんの指が青いことに気付いたのは、その日の生徒が初めてでした。
「え?え?え?」
「やだー、怖~い」
「ドキドキ」
「きゃー」
「まじー?」
子ども達がどんどん盛り上がってきます。
The grey ladyが化け物に追い詰められます。
"Oh, the lady has disappeared! Where is she?! "
「ここーっ!」
「いたーっ!」
"Wow, she has been driven to the dead end! What can she do now?"
「あ!ここに綱がある!」
「これで逃げる?」
「えー?無理じゃない?」
"How does she use this vine?"
私の英語と子ども達の日本語がちゃんと嚙み合います。
…まあ、あんなこと、こんなことあって、
最後に、そっと本を閉じて、裏表紙を見せます。
This is the end of the story.
So, did you like it?
「いや…なんだか…」
「あんまりかな。」
「きもちわるかったね」
こんだけ盛り上がっといて、この感想(笑) でも、Yes, I did/No, I didn't.と答えられるより、私は嬉しいかもしれない。
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